踊り子 / Vaundy(2021)

Vaundyが熱い!

 前回は髭男を取り上げたので、今回はもうちょっと売れ線?っていういい方はいい気はしないけど、メインストリームから少し外れた音楽にしようかなー、とか考えていたのですが、やっぱり最初のうちは人気な音楽を掘り下げた方が定着(?)するやろ。という事で。Vaundy。

 見出しに「Vaundyが熱い!」とか適当なこと書きましたが、前々からこの人はすごいです。んで、重要なのは「何がすごいのか」ということでございます。

 それはずばり、「変態性」!

なんか、変な、難しいことやってる「変態」だと思ったそこのあなた!残念!違います!
間違いとまでは言いませんが、そんな難しいことされても、わたしたち素人にはわかりませんから!

 ここでいう「変態」とは「態を変える」という意味での変態です。彼の音楽は様々に態を変えます。

 人気曲でいうと「怪獣の花唄」。これは明らかにJROCKサウンドを意識して作られていると思います。特にメロディ、歌い方。これもわざとです。絶対。1フレーズの歌い方をよく聞いてみるとすぐわかります。「思い出すのは君のうたぁ↓」の語尾。サビ前、「聞かしてくれよ」のファルセット(裏声)。などなど。

 さらに「東京フラッシュ」「不可抗力」などジャジーで、少し浮遊感のあるサウンド。声のトーンも「怪獣の花唄」に比べるとかなり下がり、ダウナーな雰囲気で、まるで別人の曲を聴いているようです。

 そんな、いろんなサウンドに変態する彼の音楽ですが、そのすべてが高いクオリティを保持しています。前にも書きましたが、彼のすごいところは、人気の様々な音楽に対する、彼なりの解釈を、すべて高品質のオリジナルに昇華させられるという事です。

ということで、皆さんに、私の考えるVaundyのすごさが伝わったところで?ーーー

今回の曲に参ります。

踊り子 – ミニマルVaundy

 今回のキーワードは「ミニマル」。この言葉の詳しい意味は調べていただければわかりますが、簡単に言うと「地味」なサウンド。ビートは単調で、コードの動きも最小限。

 しかし、ただ地味な音楽を作ってもJPOPシーンの中でヒットを生み出すことはできません。このミニマルなサウンドをどうやってVaundyの音楽として世に放つのか。そこに着目してみましょう。

曲をほじくる

 イントロからベースとドラムだけのシンプルなサウンドで進行します。いやあ、相変わらず詞を音に乗せるのがうまいです。

 サビ。ギターのコード一発弾きが入ってきました。「まわりだした あのこ と ぼくの~♪」

 おお?ーーちょいとピアノアプリを引っ張り出して。(ん?ピアノはひけませんよ?)

 「僕の未来が~」の「ぼ」の音。これです!そしてさっき入ってきたギターのコード。ここはBmじゃなくてB7。なるほど、ここがフックになっているわけです。詳しいことまで書くとめんどくさすぎるし、理論的なことを正確に把握しているわけではないので、いちいち書きませんが、いわば「不安定」な音なんです。「ぼ」は。

ミニマルだからこその「地味な僕」と「華やかなあの子」 

 この曲、最初はベースとドラムだけのサウンドに乗せ「僕」の「ねぇ」という語り掛けから始まりますが、2コーラス目は逆にギターとドラムだけのサウンド「私」の「あのね」から始まります。ここが対比的。

いわば、音楽的にもミニマルなサウンドの中で、「僕」には「色がなくて地味」で、「私」には「色があって華やか」とも取れます。(ベースが地味とかそういうことじゃないですから!あくまでも音楽表現としてね!)

 これが意図されたものであるならば、これは「ミニマルだからこそ」の表現ともいえるでしょうかね。サウンドを最小限のものにすることで、こういった対比的な表現を全面に出すことができるんです。

サビで「僕」は不安定に

前述しましたが、サビの「僕」は不安定です。それはなぜか!

「あの子」に恋してしまったから!これしかないでしょう。地味で陰気臭いミニマル男?が、華やかな女性(踊り子)に片思いをして、自分を乱す構図とでも言いましょうか。なるほど~。

最後は広げる

 最後の「時代に乗って~♪」からは、「僕らが散って」「変わらない愛」など、付き合ってんのか、別れてんのか、なにしてんのかよくわからない歌詞を並べて曲が終わります。あれ、片思いじゃなかったのかよ!と思いましたが、いろんな人がこの曲に思いを馳せれるようにしたかったのかなーとか思いつつ。形は違えど「僕」のような体験をしたことはある人が多いはずですからね。


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